久しぶりに、スナップとは少し違う撮影をした。 被写体は、荒川区観光大使の片岡鶴太郎さん。 鶴太郎さんは、真土小学校(現・ひぐらし小学校)、第十中学校(現・諏訪台中学校)そして竹台高等学校ご出身。全て馴染みがある近くの学校。 三河島駅のホームで電車を待つたび、何とはなしに真土小学校をぼんやりと眺めながら、「片岡鶴太郎さんは、ここの出身なんだよなぁ」と思いを巡らせていた。そんな何気ない時間が、今でも不思議と記憶に残っている。 そして鶴太郎さんとはずいぶん前から撮影の調整を進めていたものの、なかなかタイミングが合わず。今回、荒川区のイベントにいらっしゃるということで、ようやくコラボ撮影が実現した。 俳優、芸人、画家、書家と、さまざまな表現の世界を歩んでこられた鶴太郎さん。その圧倒的な存在感を前に、細かなポージングを指示するのは野暮だと思った。 お伝えしたのは、ごくシンプルな「とある子ども」のストーリー。あとは、その世界の中で演じていただく。 こちらの想像を超える表情と佇まい。そこには紛れもなく片岡鶴太郎という人間がいる。 私はただ、その一瞬を逃さず切り取る。 昨年末までは芸能や広告の撮影も手がけていたが、こうして一人の表現者と向き合い、写真をつくり込むのは久しぶり。 やはり、こういう撮影も面白い。 写真家が被写体をつくるのではない。被写体が持つものを、写真によってどこまで引き出せるか。 仏師が仏を作るわけではない。木の中に埋もれている仏を掘り出すのと同じ。 鶴太郎さんの存在感に触れながら、改めて写真の奥深さを感じた5分だった。 鶴太郎さん、そして辻さん、お忙しい中、有り難うございました。
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