来年2027年3月18日から23日まで、荒川区の町屋文化センターで「第一回 荒川フォト写真展」を開催する。 考えてみれば、自分で写真展を開催するのは実に13年ぶり。2013年以来のことになる。 今回の写真展は、私が企画・運営する「荒川フォト」の活動の一環として、これまで撮影してきた荒川区の人々の姿を展示するものだ。 これまでの写真展とは少し趣旨が違う。写真家として自分の作品を発表するというより、荒川区に暮らし、働き、活動する人々の姿を地域の皆さんに見ていただくための写真展。 いわば、荒川区の人々が主役の写真展だ。 会場は町屋文化センター2階のふれあい広場。約500平方メートルという、これまで私が開催してきた写真展とは比較にならないほど大きなスペースを使わせていただく。 これだけの規模の写真展を自ら企画するのは初めてのこと。写真の選定から展示構成、広報、運営に至るまで、考えなければならないことは山ほどある。 もっとも、写真を撮ることは長年続けてきたものの、写真展を開催することについては、実はそれほど経験があるわけではない。 せっかくの機会なので、過去に開催した3回の写真展を少し振り返ってみようと思う。 ### そもそも、写真展や写真集にはあまり興味がない 私はアート写真家というより、職業写真家だ。だからなのか、これまで写真展の開催や写真集の出版にはあまり縁がなかった。というより、そもそもそれほどこだわりを持ってこなかった、というのが正しいかもしれない。 これまでに開催した個展は3回。最後に開催したのは2013年だから、もう13年も前のことになる。 振り返ってみると、2013年はなぜか写真展の開催に夢中になっていた時期だった。20年強のカメラマン人生の中で、自ら写真展を開催したのは、後にも先にもこの年の3回だけ。 しかも、その3回すべてが、どちらかというと偶然の出会いや成り行きから始まったものだった。 第一回「Shichirigahama in Black and White」 会 期:2013年7月1日〜31日 会 場:七里ヶ浜ゲストハウス(鎌倉) 仕事仲間が所有していた七里ヶ浜のゲストハウスを会場に開催した、初めての写真展。 七里ヶ浜は、当時から好きな被写体のひとつだった。海、空、光、そしてそこに流れる独特の時間。何度となく足を運び、撮りためていた写真の中から30枚ほどを選んで展示した。 もともとはカラーで撮影した写真だったが、七里ヶ浜の風景はカラーのままだと、あまりにも綺麗すぎるように感じた。 私が表現したかったのは、海や空の鮮やかな色彩よりも、そこに差し込む光や影、その微妙なグラデーションだった。 そこで、すべての写真をモノクロで現像し直した。色を取り除くことで、かえって七里ヶ浜という場所が持つ空気や情景が浮かび上がってくるような気がした。 第二回「Equilibrium – 無作為が生み出す均衡」 会 期:2013年12月1日〜21日 会 場:カフェ フランジパーニ(六本木) 当時、夜中までよく入り浸っていた六本木のカフェ。 あるとき店長から「次の展示がまだ決まっていない」という話を聞き、それなら私の写真でも飾ろうか、ということで急遽開催することになった。 テーマは「Equilibrium(均衡)」。 集団であれ個人であれ、そこにいる人たちがカメラをまったく意識していないにもかかわらず、不思議と画面の中に均衡が生まれる瞬間がある。 人の立ち位置、身体の向き、視線、周囲との距離感。誰も計算していないのに、それぞれの存在が絶妙なバランスをつくり出している。 演出したわけでも、ポーズをお願いしたわけでもない。まったくの無作為から、ひとつの完成された構図が生まれる。 こうした瞬間を捉えることは、昔から私の好きな写真表現のひとつだった。 そのような写真を15枚ほど選んで展示した。 第三回「The Dinosaurs – ふたりのポートレート展」 会 期:2013年12月28日〜29日 会 場:若色写真事務所(白山) 当時、文京区白山で、シャッター付きのガレージを写真スタジオとして借りていた。 ガレージらしく、石造り風の壁に駐車場と倉庫が併設された、50平方メートルほどの空間。一般的な写真スタジオとは少し違った雰囲気があり、なかなか気に入っていた。 普段から、自分の好きな写真をその石壁に飾っていたのだが、あるとき出会ったばかりのポートレートカメラマンと意気投合し、ふたりで写真展を開催することになった。 年末も押し迫った12月28日と29日の、わずか2日間。 お互いに50枚ほどのポートレートを持ち寄り、合わせて100枚ほどを展示したと記憶している。 同じ人物写真でも、写真家が違えば、被写体との向き合い方も、表現したいものも違う。 自分とは異なる視点で撮られた人物写真と、自分の写真が同じ空間に並ぶ。そのこと自体が面白かった。 ### そして13年後、再び写真展へ
こうして振り返ると、2013年の3回の写真展には、それぞれまったく異なるテーマがあった。 風景を通して光を見つめた七里ヶ浜。人々が無意識につくり出す均衡を捉えた六本木。そして、人物そのものに向き合った白山。 ただ、どの写真展も、最初から大きな目標や明確な計画があったわけではない。 場所があり、人との出会いがあり、そこに自分の写真があった。だから展示してみた。それくらい自然な流れだったように思う。 そして13年が経ち、今度は荒川区の人々を撮り続ける「荒川フォト」の写真展を開催することになった。 以前の3回は、写真家としての自分の表現を見てもらうためのものだった。しかし、今回は少し違う。 自分の写真を見せたいというより、写真に写っている人たちを見てもらいたい。 一人ひとりに人生があり、仕事があり、家族があり、それぞれの物語がある。その姿を写真として残し、多くの人に見てもらうこと。それが今回の写真展の目的だ。 写真家としての自己表現から、地域の人々の記録へ。 もっとも、写真を通して人間を見つめたいという気持ちは、昔から何も変わっていないのかもしれない。 13年ぶりの写真展。さて、どんな展示になることやら。今から楽しみだ。
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